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【免疫学入門】第6章 ウイルス感染から守る! T細胞の活躍 編

免疫細胞っていうのは聞いたことあるけれど、ウイルス感染したときどうやって守っているの?と疑問に思いませんか?今回は自然免疫より強力なT細胞がウイルスから体を守る方法を解説します。これを読めば、ウイルス感染とT細胞の働きについてより詳しくなるでしょう!!

 

女の子
自然免疫細胞がウイルスと闘う方法はわかったけれど
他の免疫細胞もウイルスをやっつけたりするの?
そうだね!T細胞という免疫細胞がウイルスを殺すために働くよ!
Arisa
女の子
T細胞はどうやってウイルスから守ってくれているの?
うん、その疑問をこれから一緒に解決していこう!
Arisa

 

前回の自然免疫細胞がウイルスと闘う方法をまだご覧になってない方はこちら→【免疫学入門】第5章 ウイルス感染から守る! 自然免疫細胞の活躍 編をぜひご覧になってください!

 


 

 

ウイルスと闘うT細胞とは?

 

T細胞は免疫細胞であるリンパ球のうちの一つです。

まず、T細胞について解説する前に
実際にどんな細胞なのか見てみましょう!(↓Tリンパ球)

T細胞が活性化して分裂増殖を起こしている様子が確認できますね!

 

では、ウイルスとの闘いで活躍する細胞傷害性(キラー)T細胞
について解説します。

細胞傷害性T細胞は次のような細胞です。

存在割合の引用:Berrington, J. E.; Barge, D; Fenton, AC; Cant, AJ; Spickett, GP (May 2005). “Lymphocyte subsets in term and significantly preterm UK infants in the first year of life analysed by single platform flow cytometry”

 

CD3やCD8というものは細胞表面に出ているタンパク質(マーカー)であり、
どのタンパク質が出ているかで細胞を区別することができます

細胞傷害性T細胞を特徴付けるマーカーはCD8です。

 

参考 それぞれの免疫細胞が持つマーカー

  • B細胞→CD19というタンパク質
  • T細胞→CD3というタンパク質
  • ヘルパーT細胞→CD4というタンパク質

 

この細胞傷害性T細胞が
感染している細胞ごと殺すための免疫反応
を「細胞性免疫」といいます。

それでは、ウイルスと闘うときの細胞性免疫について
引き続き解説していきます。

 

 

 

細胞性免疫でウイルス感染と闘う方法

 

Arisa
細胞傷害性T細胞がどのようなはたらきをしているのか説明するよ!

 

 

これから説明する免疫反応は【免疫学入門】第5章 ウイルス感染から守る! 自然免疫細胞の活躍 編で説明した自然免疫細胞による反応よりも遅い反応ということを覚えておいてください。

 

まず、細胞傷害性T細胞はウイルスによって感染している細胞を見つける必要があります。

では、どうやって見つけているのでしょうか?

感染した細胞が「私を感染しているので殺してください!」と
細胞傷害性T細胞にアピールするのです。

なぜ、感染した細胞が破壊される必要があるのかというと
細胞ごと破壊することで他の細胞へ移る可能性のあるウイルスも殺すためです。

感染した細胞が感染したことをアピールする方法は
細胞表面にウイルスの一部(抗原)を提示することです!
これは抗原提示といいますね。

 

参考

全細胞が細胞表面にMHCクラスⅠ分子というタンパク質を持っており、このタンパク質の上に抗原をのせます。
これにより、どんな状態の細胞なのかを免疫細胞に知らせるのです。

 

その感染した細胞のアピールを細胞傷害性T細胞はどのように聞き取るのでしょうか?

感染したウイルスに特異的なT細胞が持っている受容体が
抗原提示されている抗原に結合して「この細胞は感染している!」とわかる
のです。

 

参考

全てのT細胞が持っている受容体をTCR(T Cell Receptorといいます。
T細胞によってこのTCRは形や結合できる抗原が違います。

 

そして、T細胞は感染した細胞を見つけると
顆粒物質を放出し感染した細胞を破壊することができます!

しかし、そのウイルス感染が初めてだった場合
そのウイルスと闘うことのできる細胞傷害性T細胞は非常に少ないです。

そのため、NK細胞が放出するサイトカイン(IFN-γ)で
細胞傷害性T細胞になる前の未熟なT細胞を活性化させ増やすことができるのです。

ウイルス感染でのNK細胞やサイトカインについて知りたい方は
こちら→【免疫学入門】第5章 ウイルス感染から守る! 自然免疫細胞の活躍 編
をご覧ください。

 

細胞傷害性T細胞がウイルスと闘う方法の流れはこのような感じです↓

やhり、最終的には
NK細胞やマクロファージなどの自然免疫細胞と一緒に活性化し
細胞傷害性T細胞も本領を発揮できるようです。

 

 

 

まとめ【ウイルス感染から守るT細胞のはたらき】

 

Arisa
細胞傷害性T細胞について理解できたかな?
はい!わかりました!
細胞傷害性T細胞は強いですね!
女の子
Arisa
特異的に攻撃できるから強いんだね!
では、今回の復習をしよう!

 

細胞傷害性T細胞は次のような特徴をもつリンパ球です。

 

  • CD8というマーカーをもつT細胞
  • ウイルスが感染した細胞ごと破壊できる(細胞性免疫

 

ここで重要なことがあります。

 

ポイント

細胞性免疫は自然免疫細胞による反応よりも遅い

 

そして、次のような流れでウイルスと闘いますね。

 

  1. 感染した細胞がウイルスの抗原を表面に出す
  2. そのウイルスに特異的な細胞傷害性T細胞の受容体が抗原にくっつく
  3. ウイルス特異的な細胞傷害性T細胞が活性化して増える
  4. 細胞傷害性T細胞が顆粒物質を出して細胞を破壊する
  5. 自然免疫細胞と協力して細胞傷害性T細胞がパワーアップする

 

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

 

興味がある方はこの続きも読んでみてください!!

 

 

 

免疫がわかるオススメの本

 

今回は生物学から少し掘り下げてみたい
という方にオススメの本です。

それは『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第3巻 分子生物学』です。

おそらく、生物専攻の方は入門という感じで
一度は読んだことがあるのではないでしょうか?

免疫学の専門用語も知識も
最低限のことはしっかりおさえたいという方は
この第3巻の第15章免疫という部分を読むのがおすすめです。

初学者でも
図がわかりやすく読み進めやすいのではないかと思います。

私も免疫学を学び始めた頃にこれを読みました。

ぜひご覧になってみてください。


Arisa

地方国公立大学から旧帝大大学院に進学し、生物系の研究をしている修士1年生です。 趣味は読書。 ブラックコーヒーが好きでカフェイン中毒気味です。

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