免疫細胞っていうのは聞いたことあるけれど、ウイルス感染したときどうやって守っているの?と疑問に思いませんか?今回は自然免疫細胞がウイルスから体を守る方法を解説します。これを読めば、ウイルス感染と自然免疫の働きについてより詳しくなるでしょう!!

 

[st-kaiwa4]毎年インフルエンザが流行っているけれど
免疫細胞はウイルスをやっつけたりするの?[/st-kaiwa4]

[st-kaiwa1 r]そうだね!免疫細胞たちはウイルスを殺すために働くこともあるよ![/st-kaiwa1]

[st-kaiwa4]どうやってウイルスから守ってくれているの?[/st-kaiwa4]

[st-kaiwa1 r]うん、その疑問をこれから一緒に解決していこう![/st-kaiwa1]

 


 

目次

ウイルスが細胞に感染する方法

 

まず、ウイルスが体の中に入り、その後細胞の中に侵入して感染する方法について解説します。

その前に、ウイルスとは何かわからないという方は
【免疫学入門】第2章 初心者でもわかる細菌とウイルス
こちら↑の記事をご覧になってください。

 

 

ウイルスが侵入する

ウイルスはウイルス自身で増えることができないため
増やす(自己複製する)ために細胞の中へ侵入しようとします。

しかしながら、どの細胞にも侵入できるわけではないのです。

それぞれのウイルスは侵入ができる細胞が決められています!

ウイルスがなぜ侵入できる細胞を見つけられるのかというと…

細胞の表面に特有の物質(タンパク質・糖など)が出ているからです。

この図↑のように、ウイルスは自身がくっつくこと(結合すること)のできる物質を出している細胞に侵入します。

 

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では、細胞に入ったあとに、ウイルスはどのように感染するのでしょうか?

 

 

ウイルスが増えて感染を拡大する

 

ウイルスは侵入した後にウイルス自身が持っているDNAを
増やします(複製します)。

ここで重要なのが、
ウイルスは自分で同じDNAを新しく作ることができないため
侵入した細胞の中にあるDNAを作る(合成・複製する)仕組みを借りてウイルスDNAを作ります。

さらに、新しく作られたウイルスのDNAは
新しく同時に作られたタンパク質(カプセルのようなもの)
に閉じ込められます。

 

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ウイルスは外被のタンパク質の中にDNAやRNAが含まれたものです。

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このように大量にウイルスが作られた後
細胞の外へ放出されます。

放出されたウイルスは隣の細胞や感染していない細胞に
次々と感染し、同じことを繰り返して感染を広げていきます。

 

ウイルスが感染する流れはこのような感じです。

[st-kaiwa1]理解できたかな?[/st-kaiwa1]

 

 

自然免疫細胞がウイルス感染から守る方法

 

いよいよ本題に入ります。

自然免疫細胞がウイルスとどのように闘っているのかについて
早い反応から順に解説していきます。

ここで自然免疫細胞についてあまり知らないという方は
【免疫学入門】第3章 細菌感染から守る! 自然免疫細胞の活躍 編
こちら↑の記事から読んでみてください。

 

 

貪食細胞のはたらき

 

一番最初に活躍するのは自然免疫細胞の中の貪食細胞です。

樹状細胞やマクロファージがウイルス粒子を飲み込みます。

これらの自然免疫細胞は飲み込んだものが「何か」を
判断するために免疫細胞の中に受容体というものを持っています。

マクロファージなどはこの受容体にウイルス粒子が結合することで
「ウイルスが体の中にいる!」とわかるのです。

ウイルスが侵入していることがわかると…

ウイルスが新しく同じウイルスDNAを作る(複製)のを邪魔する
インターフェロン(IFN)という物質を
マクロファージ、樹状細胞、感染した細胞(上皮細胞など)が
放出します。

 

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ここで放出されるインターフェロンはサイトカイン(細胞を刺激するタンパク質)の1種であり、
IFN-αとIFN-βというⅠ型インターフェロンと呼ばれるものです。

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このインターフェロンは他にも

といった機能があります。

 

この一連の流れをまとめました。↓

次に別の自然免疫細胞が活躍します。

 

 

NK(ナチュラルキラー)細胞のはたらき

 

NK細胞は自然免疫細胞の一種です。

どのような細胞なのか実際のNK細胞をこちら↓の動画で見てみましょう!
(NK細胞などのリンパ球ががん細胞と闘っている様子)

がん細胞がどんどん破壊されていくのがわかりましたね。

このようにNK細胞は
ウイルスに感染した細胞や悪性になったがん細胞など
正常ではない自分の細胞を破壊することができる
のです!

ウイルス感染が生じた場合、
マクロファージや樹状細胞はインターフェロンの他に
NK細胞を活性化できる別のサイトカインを放出します。

このサイトカインによりNK細胞は活性化されて
ウイルス感染した細胞を見つけます。

そして、ウイルス感染した細胞を破壊したり、
インターフェロンを放出してマクロファージなどをさらに活性化させます。

 

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NK細胞はIFN-γというⅡ型インターフェロンでマクロファージを活性化します

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NK細胞のはたらきはこの通りです。↓

マクロファージ、樹状細胞、NK細胞が協力してウイルスと闘っているのですね。

しかしながら、この自然免疫細胞のはたらきだけでは
ウイルスに負けてしまうことがあるのです。

そこで、さらに強力な免疫細胞がウイルスと闘ってくれます!!

ここで解説してしまうと長くなるため、
それについては次の章で解説します。

 

 

 

まとめ【ウイルス感染から守る自然免疫細胞のはたらき】

 

[st-kaiwa1]自然免疫細胞がウイルスとどうやって闘っているのかわかったかな?[/st-kaiwa1]

[st-kaiwa5 r]はい、わかりました![/st-kaiwa5]

[st-kaiwa1]それでは、今回の復習をしよう![/st-kaiwa1]

 

ウイルスの感染は次のような流れで行われます。

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  1. ウイルスは結合できる物質をもつ細胞に侵入する
  2. ウイルス自身のDNAを細胞内のシステムを借りて大量に複製する
  3. 新しく作られたウイルスが放出され、別の細胞に感染する

[/st-mybox]

 

マクロファージ樹状細胞NK細胞という自然免疫細胞が
次のような流れでウイルスと闘います。

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  1. マクロファージと樹状細胞がウイルス粒子を飲み込む
  2. 「ウイルスがいる」とわかり、インターフェロンを放出する
  3. インターフェロンでウイルスのDNA複製を邪魔する
  4. インターフェロンによりNK細胞が活性化する
  5. NK細胞がウイルス感染細胞を破壊する
  6. NK細胞のインターフェロンでマクロファージなどが活性化してウイルス感染の邪魔をする

[/st-mybox]

 

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

 

興味がある方はこの続きも読んでみてください!!

 

 

 

免疫がわかるオススメの本

 

免疫がわかる「はたらく細菌(1)」などの私が読んだことのある漫画
をこれまで紹介してきました。

今回はこちらの私が読んで面白いと思った
免疫についての本を紹介したいと思います。

美しき免疫の力 人体の動的ネットワークを解き明かす』です。

免疫細胞のはたらきがどのように解明されてきたのかがわかる本です。

免疫学の歴史が堅苦しくなく読みやすく書かれています。

もう少し免疫学に足を踏み入れてみたい、科学者たちの物語を読みたいという方は
ぜひ読んでみてください!


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