がんって病気を聞いたことあると思いますが、どんな病気か知っていますか?
がんと闘う免疫細胞について学ぶ前に、この記事でがんという病気についてわかりやすく解説しています!
これを読めば、日本人の死亡率が高い病気がんについてもっと学びたくなるでしょう!また、もっと免疫について知りたくなるでしょう!
ところでどんな病気か知っているかな?
目次
がんってなに?正体は?
がんは病気であるということはご存知ですよね?
癌(がん)という言葉や腫瘍(腫瘍)という言葉も耳にしたことがあるかと思います。
しかしながら、専門的に違いきちんとした分類があるため(この記事では説明しません)、ここでは総称として使われる「がん」という言葉を使っていきます。
では、がん細胞の正体は?というと、もともと私たちの体の中にある正常な細胞が異常(悪い状態)になったものです。
実際のがん細胞を見てみましょう!(マウスのがん細胞↓)
臓器の細胞や、筋肉、骨、血液などの細胞が悪性化した状態のことをがんと呼びます。例えば、臓器であれば「乳がん」「肺がん」、血液のがんであれば「白血病」などと言いますね。
正常(良性)だった細胞が細胞内あるいは細胞外からの変化・刺激により徐々に悪性になることでがんになりますね。
この正常細胞と異常な細胞(良性な腫瘍細胞)ではどのような違いから区別されるのでしょうか?
がんが正常細胞や良性腫瘍の細胞と大きくことなるのは以下の点です。
- 不死化されていて増殖を停止することができない
- 本来与えられた役割をはたさない異常形態をもち、接触阻害を起こさずに周囲を無視して増殖する
- 癌細胞の増殖には足場が必要ない
- 細胞分裂のたびに遺伝的に性質のことなった細胞が生み出される
- 悪性化すると浸潤・転移するようになる
出典元:野島博「絵でわかるがんと遺伝子」講談社、2012年
上記の違いのうち、5は悪性化したもののことを指します。
これを見てもまだわからないかもしれません。
そこで、少し噛み砕いてそれぞれの違いについて説明します。
不死化していて増殖し続ける
細胞は基本的には必要な時に必要な分だけ増えることができます。
(例外として、神経細胞や筋肉細胞は正常であれば増えません。)
体の中の粘膜という部分の細胞は古い細胞が消えて、新しい細胞が消えた分だけ増えるというようなリサイクルを行っています。
また、皮膚に傷ができてしまった時、皮膚の細胞がその傷を埋める分だけ増えます。
これが正常な場合です。
しかし、がん細胞はとにかく増え続けます。
細胞の中ではDNAやタンパク質が増えることをコントロールしているのですが、それらに異常があると増えるのを止められなくなってしまうのです。
そして、がん細胞は老けないのです。
ずっと若いまま、アクティブに増え続けます。怖いですね。
極端にわかりやすくイメージ図でまとめるとこんな感じです↓
周りを気にせずに増え続ける
がん細胞がずっと増え続けるということはわかっていただけましたね。
では、どのような増え方をするのでしょうか?
正常な細胞であれば、周りの細胞と同じようにきちんと並ぶように増えます。
余計に増えたり、隣の細胞に覆いかぶさるということはありません。
しかし、がん細胞は隣の細胞のことを気にせずに増えます。
多く増えることで隣の細胞と重なってしまっても気にしません。
がん細胞はどこまで増えていいのかわかっていない状態にあるのです。
これをイメージ図でまとめるとこんな感じです↓
増えるのに足場が必要ない
足場とは?と思われた方がいるかもしれません。
私たち人にとっての足場とは次のように定義されています。
足場は、そこにいるための足を置ける場所のこと。
出典元:Wikipedia
正常な細胞にとっても、体の一部の細胞として存在するために
細胞の下に土台のような場所が必要なのです。
足場があるからこそきちんと並ぶことができ、安定して正常に増えることができるのですね。
しかし、がん細胞は足場が必要ないのです。
がん細胞は土台に足がついていない自由な状態で増えることができるのです。
遺伝的な性質が異なる細胞が生まれる
遺伝的な性質が異なるとはどういうことでしょう?
細胞として生存するためや増えるために必要な遺伝子以外の一部の遺伝子が欠けていたり、変化しているということです。
このような異なる細胞は、細胞が分裂して増える時に、生まれるのです。
がん細胞に含まれる遺伝子は正常細胞の遺伝子と比べると不安定であり、正常に働くために必要な遺伝子がおかしくなっています。
しかし、その異なる細胞同士で増え続けることができてしまうのです。
これをイメージ図でまとめるとこんな感じです↓
悪性化して浸潤や転移をする
まず、正常な細胞はあるべき場所(組織など)にとどまり、そこで増えたり役目を果たしたりします。
しかしながら、悪性化したがん細胞は自由に動き回ることができるのです。
実際にがん細胞が動き回る様子を見てみましょう(食道がん細胞)↓
かなり活発に動いていますね。
がん特有の移動を浸潤あるいは転移と言います。
浸潤は、悪性化した細胞が細胞組織のあるべき場所よりも深いところへ移動していく、侵入していくというものです。
その後に起こるのが転移です。転移は深く侵入したがん細胞が血管の壁を壊して血管に入った後、血液の流れにのって別の場所(組織)に移動することです。
これをイメージ図でまとめるとこのような感じです↓
この浸潤や転移ができるものを「悪性腫瘍」と呼びます。
このような移動が活発ながん細胞ほど悪性度が高いと言えるようです。
がん細胞が生まれる原因
ここでは、がん細胞が生まれるきっかけについて簡単に説明します。
がん細胞は細胞が持つDNAに多くの傷(変異、欠失)が入ることで生まれます。
DNAに傷が入ってしまうような刺激(原因)とはなんでしょう?
次のような刺激が考えられています。
がんの原因となる様々な刺激
- 紫外線
- タバコ
- (食物や化学薬品に含まれる)発がん物質
- ウイルス、細菌
- ストレスによる機能障害
このような刺激が積み重なっていくほどDNAに異常が起き、がん細胞が生まれる可能性が高くなります。
刺激が入ってから正常細胞ががん細胞に変化するまでをイメージ図でまとめるとこんな感じです↓
わかっていただけたでしょうか?
まとめ【がんの正体は?】
今回の記事では、がんという病気について解説しました。
まず、がん細胞というのは、もともと正常な細胞だったものが悪い状態へと変化したものです。
そして、正常な細胞と異常な(がんになりうる・がんである)細胞の違いは次の通りです。
- 不死化して増殖し続ける
- 周りを気にせず増え続ける
- 足場が必要ない
- 遺伝的に異なる細胞を生み出し、増える
- 悪性化して浸潤や転移をする
がん細胞はとにかく異常に増え続けるという強みを持っているということですね。
このようながん細胞は外部あるいは自分自身のストレスによる刺激でDNAを傷つけることが積み重なって、悪い状態へと変化したものでしたね。
まとめの内容を押さえられていれば十分です!
今回も盛り沢山だったと思うので、がんと闘う免疫細胞については次の章で解説したいと思います。
その前に免疫や免疫細胞について学びたいという方はこちら↓の記事を読んでみてください!
【免疫学入門】第1章 免疫(めんえき)って何?
ここまで読んでくださりありがとうございました!!
最後にオススメの本を紹介していますので、
興味のある方は一番下まで読んでみてください。
がんに関するオススメの本
今回は私が買って実際に読んだオススメの2冊を紹介します!!
1冊目は漫画で学べる「はたらく細胞(2)」です。
この2巻と5巻でがん細胞が取り上げられています!
2度も登場するとはがん細胞強しですね。
私自身、がん細胞と免疫細胞の戦いはとてもハラハラしながら読みました。
2冊目は病理医(細胞を観察してこの病気ですねと診断する医師)の方が書いた「おしゃべりながんの図鑑 病理学から見たわかりやすいがんの話」です。
がんにも細胞の形や性質など目に見える特徴があるということを知ることができて、とにかく面白いです。
それを見分けて診断する病理医の仕事ってかっこいいなとも思いました。
手書きのイラストも非常にわかりやすくて、初学者でも面白く読めます。
電子書籍がいいという方はこちら↓から
おしゃべりながんの図鑑 病理学から見たわかりやすいがんの話 [電子書籍版]
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。